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小売は科学9割、感性1割

以前に代表の武永昭光が繊研新聞に執筆した「小売は科学9割、感性1割」を紹介します。

数年前、『人は見た目が9割』という本が数年前ベストセラーになりましたが、小売の科学と感性について整理してみたところ、「小売は科学が9割」と確信するに至りました。

マーチャンダイジング(MD)、ヴィジュアルマーチャンダイジング(VMD)に関して、項目ごとに科学と感性に分けて整理し、その際、大半は科学が占めることを改めて確認できました。その一部を紹介します。

ところで、小売の科学とは、長期的な売り上げと利益を継続するために、誰もが実施すべきことで、個人の感性など発揮する余地のないことです。

「基本原則」は科学・「センス」は感性、「「ルール」は科学・「裁量」は感性、「理論」は科学・「感情」は感性、「理解する」のが科学、「磨く」のが感性、「全体」は科学・「個」は感性、また、科学は「絶対」・感性は「相対」といえます。

 

マーチャンダイジングの科学と感性

商品分類の決定は科学です。MDプランの中身を決める際には科学と感性の両方が必要になりますが、商品分類の大、中、小分類の決定には感性を発揮する場面などなく、100%科学といえます。

グレードのバランスの決定は科学です。

グレードのバランスはターゲットの収入に合わせて決めます。つまりベター30%、モデレート70%などとバランスを決定します。

これはターゲットの設定により、自然に決まることで、個人の感性で勝手に決めることなどできないことですから科学です。

プライスゾーンの決定は科学です。

プライスゾーンはグレードのバランスと整合性がなければなりません。

競合店の状況に配慮することも必要ですが、グレードのバランスに準じて決まります。

プライスゾーンの決定に感性の入り込む余地はなく、科学といえます。

プライスラインを絞ることは科学です。

プライスラインを絞ることはプラス面の方が多く、必ず実施すべきことなので科学といえます。

大・中・小分類のバランスの決定は科学と感性です。

データを下にバランスを決めるのは科学、それに自身の勘をプラスすることは感性です。

最終的には科学と感性の両方で決定します。

VMDの科学と感性

展開分類を決定することは科学です。

顧客の購入基準に優先順位をつけて展開分類を決めることは科学です。

そして、見た目の美しさによる展開分類の決定も科学です。美しいかどうかを判断するのは感性といえますが、美しさを展開分類決定の判断基準の1つに加えることは科学です。

定数・定量のルールを守ることは科学です。

会社が正式に決めたルールは絶対で、誰もが守らなければならないので科学です。

ディスプレー商品を選定する時の原則は科学です。

原則には中身を瞬時に伝えるため、立寄率を下げないため、まだ目にしていない商品を視認してもらうため、売りたい商品を売るため、売り上げに貢献するため、など全て理由があり、個人の感性で否定できることではないので、科学です。

ディスプレーの構成を原則にそって作ることは科学です。

目にしてもらうため、目にした時に安心感を与えるため、印象づけるためなど売り上げに効果のある、原則にそった構成をつくることは科学です。

テーブルプレゼンテーションなどの際に、テーマを絞り込むことは科学です。

絞ることにより、お店(売り場)全体で発信している情報に絞り込んだ情報が加わり、そして発信している情報が瞬時に伝わります。

発信する情報が多くなり、その情報が確実に伝わると、売り上げにはプラスに作用します。このように、テーマの絞り込みは売り上げの増加をもたらし、誰もが実施すべきことなので科学といえます。

決め方を決める

感性重視と考えがちなマーチャンダイジングも実は科学が重要であり、イコールディスプレーと解釈されることの多いVMDも、大部分は科学が占めることを分かっていただけたと思います。

「科学」と「感性」に分けて整理することは何についても重要なことで、その効果は想像以上に大きい、そう考えます。

「科学」については皆が守ります。

「感性」は人により様々で、好き勝手を言い始めると収拾がつかなくなるので、決め方を決めます。

それで大概のことは収まります。

感性に関しての決め方とは、例えば多数決で決める、責任者が決める、感性の優れた人、或いは専門家が決めるなどです。

感性については無駄な時間を費やすことも多いので決め方を決めるのです。

科学は誰もが当たり前に実施します。

そうすることで、あらゆる仕事の効率が上がる、そう確信しています。

ベストセラー本『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」』(山口周/やまぐちしゅうさん著)と題された書籍が2017年に発売されました。

本書はビジネスの先頭に立って活躍するための意思決定の秘訣を解説しています。

ビジネス書大賞2018で準大賞を受賞し、販売部数も10万部を超えたベストセラー本です。

 

これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできないというのです。

理性や論理の「サイエンス」、経験や知識の「クラフト」、感性や直感の「アート」のバランスが大事ですが、現在はこのバランスが崩れ、過度なサイエンス偏重になっている。なぜサイエンス重視が問題なのでしょう?

理由は、論理的情報処理スキルの限界、システムの変化にルールが追いつかない世界、自己実現欲求市場の登場、の三つです。

論理的情報処理スキルの限界を解説します。現在は様々な要素(不安定・不確実・複雑・曖昧)が複雑に絡み合う不確実な世界です。

このような世界では論理的思考で答えを導けず、白黒つかないものは直感を頼りにしたほうが良いということです。

こうした状況でもサイエンスを重視すると、どれだけイノベーションを重ねても模倣されてしまいます。

ストーリーや世界観を伝えるブランドが競争力には必要となってきますが、それは自分たちで創り出すしかありません。

それには「美意識」をもつことが重要になってきます。「美意識」とは「真」「善」「美」の価値についての自分の評価軸のことです。

「真」とは何が正しいのか、「善」とは何が良いのか、「美」とは何が美しいのかです。

しかし、直感を大事にするあまり、非論理的になるというのはNGです、両方とも大事です。

ただ、一般的には意思決定の際にアートは軽視され、サイエンスが過度に重視されてきました。意思決定の理由を後で説明できるからです。

 

小売業を思い浮かべると、逆だったと思います。

「科学9割感性1割」は、あまりに科学がおざなりにされ、感性を重視しすぎる傾向があるという業界の現実に、それぐらいの気持ちで臨んで欲しいと思い、主張したものです。小売りの業界でも、科学も感性も両方重要です。

「科学5割感性5割」が本来のバランスなのだと思います。

まとめ

マーチャンダイジングの科学と感性

・商品分類の決定は科学
・グレードのバランスの決定は科学
・プライスゾーンの決定は科学
・プライスラインを絞ることは科学

VMDの科学と感性

・展開分類を決定することは科学
・定数・定量のルールを守ることは科学
・ディスプレー商品を選定する時の原則は科学
・ディスプレーの構成を原則にそって作ることは科学
・テーマを絞り込むことは科学

感性に関しての決め方

・多数決で決める
・責任者が決める
・感性の優れた人、或いは専門家が決める

ベストセラー本『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』

・「サイエンス重視の意思決定」では、複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りはできない。
・様々な要素(不安定・不確実・複雑・曖昧)が複雑に絡み合う不確実な世界では、論理的思考で答えを導けず、白黒つかないものは直感を頼りにしたほうが良い。
・サイエンスを重視すると、模倣されてしまうが、それに対抗するには「美意識」をもってブランドのストーリーや世界観を伝えるしかない。
・直感を大事にするあまり、非論理的になるというのはNG、両方とも大事だ。