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小売り科学の三つの欠落【分類・型数・仮説】

以前に代表の武永昭光が繊研新聞に執筆した「小売り科学の三つの欠落【分類・型数・仮説】」を紹介します。

小売りの仕事に従事して30年以上になりますが、最近の売り上げ不振は今まで経験したことがなく、しかも当分続きそうです。

何をどうしたら良いか困っている人も多いと思いますので、対応策を提案してみます。本来できているはずの”科学”の部分で欠落していることがあります。それを理解し、実践することです。

重要なのにできていない欠落部分を三つ挙げます。それは、1.分類が不明確、2.MDプランの際に型数を決められない、3.仮説の立て方を知らない、です。

この3点を克服できれば、売り上げ不振から脱却できる、そう確信しています。

 

分類を明確に決められない

大分類の次に中、小分類がなく、いきなり小々分類、あるいは単品レベルになるといった分類の不備、これが科学の欠落の一つ目です。

分類の大、中、小、小々分類が決まると、それぞれのバランス(シェア)をプランすることができます。

それにより、様々な単位、様々な切り口で「売れる・売れない」の検証ができます。

分類を明確に決めなければ、欠落の三つ目に出てくる仮説の一つ、「MDの仮説」のMDプランも無いに等しいものになります。

仮説がないと品揃えの修正ができません。対策の立てようがないので、ただセールを仕掛けるしかありません。MDの仮説の前提に分類の明確化があるのです。

型数を決められない

大・中・小・小々分類を明確に決めて、分類ごとの売り上げ予算を決めたら、次はどのような内容でその予算を達成するのかを決めます。

より多くの仮説を立て、有効な対策を立てるためには、様々な切り口で型数を決めなくてはなりません。そのためにアイテム別の型数を決めます。

あるメンズショップを例にすると次のようになります。

大分類がアイテム別の「ブルゾン」「シャツ」「パンツ」。仕入れ予算を3000万円とします。

「シャツ」は1000万円です。ここまでは明確になっています。

しかし、プランがここまでなら、バイヤーはどんなシャツを仕入れしても構わないことになります。とにかく1000万円分仕入れれば良いということです。バイヤーの感性が頼りです。

シャツには綿、綿ポリエステルなどの素材違い、襟のデザインも様々、柄も色々あります。

その中身を決めることが品揃えを需要に近づけると判断したら、素材別の型数、襟のデザイン別型数、柄別型数を決めます。

つまり、まずシャツ全体で何型かを決め、その次に素材別などの型数を決定します。

仮説が立てられない

「仮説の立て方を知っていますか?」と販売スタッフに聞くと、ほとんどの人は分からないと言います。

仮説をどう立てたら良いのか分からないというのが実体です。

仮説にはMDの仮説もVMDの仮説もあります。

MDの仮説には、先述の通り、MDプランそのものと現場で立てる仮説があります。

VMDの仮説とは売り場を作る際に試してみることです。

実例として、「ラックに掛ける枚数を30枚と18枚とで比較したところ、18枚の方が売れた」「壁面2段の上段をスリーブアウトからフェイスアウトに変更したら、売り上げが20%伸びた」などがあります。

これは陳列の数量を変更した例と見せ方を変更した例です。いずれも数量を減らして売り上げが上がりました。

このように売り場を変える時に仮説として認識することがノウハウ取得につながります。

仮説の立て方には3種類有り、1.感性の一部を仮説にする、2.原則を細分化して仮説にする、3.原則に優先順位をつけて仮説にする、です。

この二つのVMDの仮説の例は、感性でやっていたことを仮説として認識して検証し、陳列の数量と陳列の仕方についてのノウハウを取得できました。

小売は個人の感性や経験も大切ですが、科学の部分も必要です。

その科学でとても重要なことなのに欠落していること、それが分類の不備と型数の未決定、そして仮説の立て方の未習熟です。

来年は売り上げが更に落ち込むと言う人もいます。このような時はやるべき基本の徹底です。

周りの情報に動揺することなく、今回提案したことを堅実に実行できれば心配ない、そう考えます。

まとめ

重要なのにできていない欠落部分は「分類が不明確」「型数を決められない」「仮説の立て方を知らない」の三つです。

1.分類が不明確
分類を決められないと分類ごとの売り上げ予算もないので、「売れる・売れない」の検証ができない。
2.MDプランの際に型数を決められない
型数を決められないと様々な切り口でのバランスを決めることができず、バイヤーの感性と経験のみのが頼りとなり、高いリスクを背負うことになる。
3.仮説の立て方を知らない
仮説の立て方を知らないとノウハウが蓄積できず、自ら改善点を考える販売員にならない。