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商品構成の変化に伴うリスクを軽減するために【売り上げ減をどう抑えるか】

以前に代表の武永昭光が繊研新聞に執筆した「商品構成の変化に伴うリスクを軽減するために:売り上げ減をどう抑えるか」を紹介します。

ショップはお客様や立地の変化に対応するために、ターゲットや品揃えの変更に迫られる場合があります。

その際、既存のお客様が離れてしまい、売り上げを落としてしまうリスクがあります。リスクを軽減するためにどのようにしたら良いのでしょう。

 

商品構成の変化に対処する二つの方法

ファッショントレンドの大きな変化に加え、競合店の出店や交通アクセスなど立地環境は常に変化しています。

また、来店するお客様の層はいつも一緒とは限りませんし、お客様の気分や好みも時代とともに変わります。

そのためショップは、お客様や立地の変化に対応するために、ターゲットや品揃えの変更に迫られる場合があります。

変更することで新しいお客様を獲得できる反面、既存のお客様が離れてしまい、売り上げを大きく落としてしまう危険性もあります。

ターゲットや品揃えを変更する時に、売り上げが落ち込むりスクを低くするための対策を紹介します。

ターゲットを変えるとは、一般的にエージ(年齢)、グレード(所得)、テイスト(嗜好・感度)のバランスを変えることを言います。

ターゲットを変えたら、品揃えも新たなターゲットに満足してもらえるように変えます。

エージ、グレード、テイスト以外にアイテムやオケージョン(カジュアル・タウン・フォーマル)、そしてファッショントレンドなどのバランスを変えることもあります。

ターゲットやMDの変更に伴い、商品構成を変えることになるのですが、それには二つの方法があります。

一気に切り替えるハードランディングと徐々に切り替えていくソフトランディングです。

また、VPは品揃えの変更を顧客に伝えることができますが、これにもハードランディングとソフトランディングがあります。

ターゲット、MDの変更

仮にエージをヤング(19歳~29歳)、アダルト(30歳~44歳)、ミドル(45歳~54歳)の三つに分け、現在の構成がヤング40%、アダルト60%だったとします。

将来はアダルト60%、ミドル40%にしたいと考えた時、ソフトランディングの場合は一気に変えるのではなく、中間段階でヤング20%、アダルト60%、ミドル20%などとして状況をみます。

従来の顧客が新たな商品構成に慣れ、売り上げ減少のリスクが減ったと判断した段階で、アダルト60%、ミドル40%に変更します。(表1)

仮に途中段階で売り上げが大きく落ちた場合には、一度立ち止って見直すことも可能です。

 

テイストの変更も同様です。例えば、現在のアップツーデイト60%、コンサバティブ40%を中間でアップツーデイト40%、コンサバティブ60%にして、最終的にアップツーデイト20%、コンサバティブ80%にするなどです。

また、グレードを変更したい場合には以下の様にします。

仮にグレードをベター(高い)、モデレート(ふつう)、バジェット(安い)の三つに分けたところ、現在の構成がベター30%、モデレート70%だったとします。

これをモデレート80%、バジェット20%のグレード構成に変更する場合、一気にその構成比に切り替えるやり方もありますし、中間段階としていったんモデレート100%としておいて、最終段階でモデレート80%、バジェット20%にもっていくやり方があります。

グレードのバランスを決めるためには、まずアイテムごとにグレード別(ベター、モデレート、バジェット)のプライスゾーンを決めます。

例えば、ジャケットのプライスゾーンのベターを5万~9万9千円、モデレートを2万~4万9千円、バジェットを1万~1万9千円などとします。

仮に型数を全部で10型とすると、先の例では現在の5万~9万9千円3型、2万~4万9千円7型を、ハードランディングでは2万~4万9千円(モデレート)8型、1万~1万9千円(バジェット)2型という構成に一気に切り替えますし(表2)、ソフトランディングでは中間段階として2万~4万9千円(モデレート)10型という構成にするということです。

 

※ここでのグレード別分類は「商品を価格の違いで分ける」関心度別分類の1つとしてとらえていますが、「人を所得の違いで分ける」対象別分類の1つとしてとらえる場合もあります。

このようにして品揃えの比率がターゲットと合う様に整合性を図ります。

なお、エージとテイストの整合性を図るためには、ブランドのコンセプトなどからブランドの位置付けを決めるか、あるいは商品一つ一つのデザインや素材、色などでエージ別、テイスト別に振り分けるか、になります。

以上のように、ターゲットの変更に伴ってエージ、グレード、テイストのバランスを修正しますが、アイテムバランスやオケージョンのバランスなどMDを見直す場合も同じです。

例えば、オケージョンなどのバランスを変更すると、商品構成もそれに伴い変わります。仮に現在のカジュアル30%、タウン70%を今後カジュアル70%、タウン30%にすると決めたら、カジュアルに該当する商品のシェアを30%から70%へ、タウンに該当する商品のシェアを70%から30%にします。

これも一気に切り替える方法と段階を踏んで変えていく方法があります。例えば、中間でカジュアル50%、タウン50%にして、最終段階でカジュアル70%、タウン30%にもっていきます。(表3)

 

VPの変更

商品構成をプランに沿って一気に変更する場合、VPでの伝え方も2通りあります。

一つは現在のバランスから一気に最終段階のバランスに切り替えるという方法。もう一つは品揃えはハードランディングでも、VPはソフトランディングで徐々に切り替え、浸透させていくという方法も取れます。

売り場にマネキンが10体あるとします。ヤング40%、アダルト60%の品揃えの場合、ヤングで4体、アダルトで6体使用することで、売場の品揃えのバランスを伝えることができます。

今後アダルト60%、ミドル40%に品揃えを変更する場合、変更当初はヤング2体、アダルト6体、ミドル2体にして様子を見るソフトランディングもあります。(表4)

 

エージ、グレード、テイスト、オケージョンなどのバランスを一気に変える場合も、VPをソフトランディングにすることで従来の顧客も維持しながら新規顧客を取り込めます。

まとめ

ショップはお客様や立地の変化に対応するために、ターゲットや品揃えの変更に迫られる場合があります。

その際、既存のお客様が離れてしまい、売り上げを落としてしまう危険性もあります。

リスクを低くするための対策があります。ターゲットとMDを一気に切り替えるハードランディングと段階を踏んでいくソフトランディングです。

ハードランディングではリスクが高いと考えた時には、ソフトランディングを選択すれば良いのです。

それからVPの変更はターゲットやMDとは別にする方法もあります。ターゲットやMDはハードランディング、VPはソフトランディングというやり方もあります。

いずれにしても従来の顧客もできるだけ多くキープし、次の新たな顧客を取り込まなければなりません。

ソフトランディングを間にはさむというのもリスクを避ける上では有効な方法です。