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伊勢丹のMDから考えられること

 

 

以前に代表の武永昭光が繊研新聞に投稿した「伊勢丹のMDから考えられるこ」を紹介します。

伊勢丹のMDは昔から定評がありますが、本店1階の改装オープンに際し、圧倒的なMD力を改めて見せつけられました。

中分類の位置づけ

伊勢丹本店の1階が改装オープンしました。驚いたことがあります。「グッチ」も「プラダ」もショップが二つに分かれています。

「グッチの婦人靴のショップ」「グッチのバッグのショップ」、プラダも婦人靴のショップ、バッグのショップと二つに分かれているのです。

大半の百貨店では、グッチもプラダも一つのショップで靴とバッグを展開しています。

百貨店の改装時には、各ブランドの位置づけを決める必要があります。

平場とキャラクターに分けた場合、どちらの範ちゅうに入るか、グレードではどこに位置づけされるか、エージではどうか、テーストではどうかなど、位置づけを明確に決めます。

キャラクターに位置づけられた場合、店舗全体のキャラクターなのか、婦人服飾雑貨など大分類レベルのキャラクターとしての位置づけなのか、婦人靴、ハンドバッグなどの中分類レベルのキャラクターなのかを決めます。

伊勢丹本店のグッチ、プラダは、店舗のキャラクターという位置づけでもなければ、婦人服飾雑貨でのキャラクターという位置づけでもなく、婦人靴売り場、ハンドバッグ売り場としてのキャラクターという位置づけです。

店舗全体、あるいは婦人服飾雑貨としてのキャラクターという扱いであれば、靴もバッグも一つのショップで展開することになります。

拙著『伊勢丹だけがなぜ売れるのか』でも述べましたが、伊勢丹本店の化粧品売り場では「エスティ・ローダー」「資生堂」は平場扱いです。

平場に位置づけされると、ブランドアイデンティティーを主張するためのパラペットのサイズ、色、形などは、他のブランドと同様、百貨店のウイル(WILL=意志)のもとに統一されることになります。

当然、ブランドの個性はあまり出ないということになります。

百貨店は、化粧品売り場としての統一性をキープするための「平場」と、ブランドの存在や特性をアピールしたい「キャラクター」の二つに分け、それぞれに位置づけされるブランドを決めるべきです。

しかし、百貨店にそのようなノウハウがないと、ブランドアイデンティティーはメーカーの思惑通りに、出したい放題となります。

現実はそういう百貨店が大半です。

平場とキャラクター

平場は、百貨店側がMDもVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)も販売も主体性を持って運営するところです。

キャラクターはMD、VMDや床、壁、什器等のハード、そしてマネキンなどのボディー、プライスカードなどのPOP(店頭広告)に関して、取引先(納入側)の主張が入ります。

そのレベルも取引先のウイルすべてが反映される場合、百貨店側が主導する場合などさまざまです。

 

例えば、キャラクター1は取引先のウイルが100%反映される、キャラクター2は床、壁は百貨店のウイルのもとに作られるが、什器、ボディー、POPは取引先のウイルを出せるなどキャラクターのレベルもいくつかに分け、その店なりのルールを決める必要があります。

伊勢丹本店1階のグッチ、プラダを見て驚いたことが二つあります。

ひとつは婦人靴売り場のキャラクター、ハンドバッグ売り場のキャラクターという中分類レベルのキャラクターに位置づけされていること、もうひとつは、両ブランドとも、床、壁が伊勢丹のウイルのもとに統一されていることです。

伊勢丹のウイルのもと、統一性ができるだけ保たれるよう、アレンジされていることが分かります。

これは、ブランドの位置づけを明確にするウイルと、日本でも有数の売上高を背景にした交渉力が伊勢丹にあるということの現れです。

いくらウイルがあっても相手が譲歩するだけの交渉力がないとプランだけで終わってしまいます。

 

伊勢丹には売上高やイメージなど店としての大きな魅力があり、それが交渉力を強めていることは確かですが、緻密なウイルがあるからこそ実現できていることも多いのです。