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重要なのに誤解されやすい分類

以前に代表の武永昭光が繊研新聞に執筆した「重要なのに誤解されやすい分類」を紹介します。

小売業を営む上でややこしいけれど、とても重要なことに「分類」がある。

ここでは四つの分類(商品そのものの分類と、売り場を構成する商品の分類、売り場のMD商品分類、売り場の展開分類)について、基準や定義など踏まえてそれぞれを解説したい。

分類基準と分類名

分類とは

分類とは共通点のあるもの、似たもの同士をまとめて分けること。

ある切り口でいくつかのグループに分けるとき、その切り口は分類基準と言い、グループの名称が分類名になる。

たとえば、分類基準の「色」で分類した時の分類名は「赤・青・黒」などとなる。

分類基準には「エイジ」「オケージョン」「アイテム」など様々あり、それらを大きく3つにまとめると、「対象」「用途」「関心度」になる。

分類にはこの他、「商品分類・展開分類」「大分類・中分類・小分類」がある。

記者でも理解が難しい”分類”

以前、ある取材で記者の方に「対象別分類が大分類、用途別分類が中分類」と誤解されたことがある。

このように分類を正しく理解することは難しいのだが、この中身をきちんと理解することが、マーチャンダイジングの第一歩である。

対象別分類・用途別分類・関心度別分類

使う人は誰かを分類するのが「対象別分類」で、エイジ別(年齢別)、テイスト別(嗜好・感度別)、性別(男女別)などがある。

いつどこでどんな場合に使うのかを分類するのが「用途別分類」で、オケージョン別(使用場面別)、場所別、機能別などがある。

お客様が何に関心を持つかという視点で分類するのが「関心度別分類」で、アイテム別、ブランド別、素材別、デザイン別、色別などがある。

これら「対象別分類・用途別分類・関心度別分類」を使って、「商品分類・展開分類」と「大分類・中分類・小分類」の中身を決める。

それぞれの分類の分類基準

「商品分類」は人や企業により定義は様々だ。セーター売場を例に取って、3つの商品分類と展開分類の定義、そしてそれぞれに必要な分類基準について述べたい。

四つの分類の定義

商品分類1(セーターの商品分類):商品そのものを素材、デザインなどで分類する。商品の構成を知り、商品知識を深める。これを「セーターの商品分類」と言うことにする。
商品分類2(セーター売場の商品分類):売場にあるセーター、カーディガンなどをアイテム、素材、デザインなどで分類する。データと連動し、商品の売れ行きを把握するための分類。これを「セーター売場の商品分類」とする。
商品分類3(セーター売場のMD商品分類):商品動向の分析とMDプランの作成に使い、品揃えを様々な切り口で需要に近づけるための、データとも連動する分類。これを「セーター売場のMD商品分類」とする。
展開分類:そしてお客様の購入時の関心と見た目の美しさを考慮して、分かりやすく選びやすくて快適な売場を作るための分類が展開分類である。

四つの分類の相違点

お客様を年齢や感度・嗜好などで分類する対象別分類や使用場面、使用する場所などで分類する用途別分類は、3のMD商品分類と展開分類には使われるが、1と2の商品分類で使用されることはない

また、売り上げデータと連動するのは2と3の商品分類である。

セーターそのものを分類すると、デザイン別やウール・カシミヤなどの素材別、赤・黒などの色別、無地・アーガイルなどの柄別、更に素材を梳毛・紡毛の毛糸別、単糸・双糸の糸別、先染・後染の染色別、平織・綾織などの織組織別に分類できる。

このように素材を細かく分けた毛糸別、糸別などの分類1の商品分類特有のもので、2、3の商品分類と展開分類には使われない

表ではMD商品分類と展開分類に用途別分類は使用されるとした。

セーター売場の商品はカジュアルの範疇の商品が大半なので、カジュアル、フォーマルなどに分類するオケージョン別分類(用途別分類の一つ)はふつう不要だが、一般的に用途別分類はMD商品分類と展開分類に使われる。

それからMD商品分類と展開分類は重要度に差をつけるため、大分類・中分類・小分類を決める

大・中・小分類は基本的には分類基準に優先順位をつけて決めるので、優先順位1位がアイテムなら、大分類は例えば「ジャケット」「シャツ」「パンツ」などとなる。この時、ある分類基準1つで分類した分類名を最終とするのではなく、シェアに偏りがあるときなどは昇格・降格の検討をする場合もある。

展開分類もお客様の関心度合いに優先順位をつけて決めるが、MD商品分類の場合は商品動向を分析する際に最も優先すべき分類はどれかなどを強く意識して決めることが大事である。

そうしなければ、つい売場を作る時を想像して、結果として展開分類を作ってしまったということになりかねない。

尚、1と2の商品分類に大・中・小分類は不要である。

補足になるが、業態や企業により分類名が異なるのは致し方ないとして、企業内では用語とその解釈は統一すること。意外に統一されていないのが実体である。

以上、四つの分類について述べた。

企業により採用する商品分類は異なると思うが、業績の向上には商品分類で商品知識を深め、データを下に品揃えの修正を行い、展開分類は常にベストを追究していくことが必要である。