【小売の科学の実力テストNo.1】VMDレベルチェックその1
株式会社ショーアンドテルは設立以来、20数年の長きに渡り、VMDの本質を追求してきました。
VMDの解釈は人により、企業により様々ですが、VMDの本質を「お客様に品揃え情報を伝えること」ととらえています。
その理解度を計るための設問を用意しました。
全てに解答できた方は専門家レベルです。
理解度を試してみませんか。
VMDレベルチェック10の設問
設問のタイトルは以下です。
2.パンツを売りたいとき
3.分類について
4.改善ポイント1
5.改善ポイント2
6.科学と感性
7.仮説を立てる
8.テーマの設定
9.売り上げに結びつくPOPの作り方1
10.売り上げに結びつくPOPの作り方2
設問1,2で品揃えをお客様に伝える知識、3で分類に関する知識、4,5で売り場を改善する知識、6で売り場の事象を科学と感性に分ける知識、7で仮説を立てる知識、8でテーマ設定の知識、9,10で売り上げに貢献するPOPを作成する知識が試されます。
業績向上に必要なVMDに関する知識がどの程度備わっているか、試してみてください。
設問1.コートを売りたいとき
コートを売りたいと考え、以下のような売り場を作りました。
この売り場作りは正しいでしょうか?
売りたい商品はトレンチコートです。
丈の長さがショート丈・膝丈・膝下丈の3タイプあり、それを伝えたいと考えています。
それから、ワンピースの上に着ると丁度良い丈もアピールしたいので、ワンピースとのコーディネートも見せたいです。
伝えたいテーマに優先順位を付けると以下のようになります。
表1
この場合の売り場はイラストのように作って正解でしょうか。
それとも、間違っているでしょうか。
正解だと思う人も、間違いだと思う人も、VPとIPに分けて答えてください。
設問2.パンツを売りたいとき
パンツを売りたいと考え、以下のような売り場を作りました。
この売り場作りは正しいでしょうか?
売りたい商品はパンツです。
ジャージ、デニム、サテンなど様々な素材、そして七分丈、五分丈など丈のバリエーションをアピールしたいと考えています。
伝えたいテーマに優先順位を付けると以下のようになります。
表2
この場合の売り場はイラストのように作って正解でしょうか。
それとも、間違っているでしょうか。
正解だと思う人も、間違いだと思う人も、VPとIPに分けて答えてください。
伝えたいことが伝わる売り場を作れるようにすることはとても重要ですが、その前提として、売りたい商品とアピールしたいことを明確にすることが必要です。
売りたい商品は何か、その商品でアピールしたいことは何かを明確にすることで、売り場の作り方が決まってくるのです。
設問3. 分類について
分類を理解できないと、マーチャンダイジングもVMDも始めることはできません。
A:対象別分類・用途別分類・関心度別分類、
B:商品分類・展開分類、
C:大分類・中分類・小分類、
などがあります。
分類を決定する際には分類基準と分類名の関係の理解が不可欠です。
例えば、分類基準の「アイテム」で分類すると、分類名はジャケット、スカートなどとなります。
以下の3つの空欄を埋めてください。
表3
展開分類はお客様の購入基準にそった分類で、目的はお客様に分かりやすく心地よく買い物をしてもらうためです。
商品分類の定義は様々ありますが、以下の3つとした場合、1~4の空欄には商品分類1、2、3のうち何が入りますか?
表4
2.対象別分類や用途別分類は商品分類( )に使われる。
3.データと連動すべき分類は商品分類( )と商品分類( )である。
4.大・中・小分類は商品分類( )に出てくる。
設問4.改善ポイント1
以下は改善事例です。
質問1:どのように改善されましたか?
質問2:改善後を更にどう改善しますか?
改善前
改善後
設問5.改善ポイント2
質問1:どのように改善されましたか?
質問2:改善後を更にどう改善しますか?
改善前
改善後
設問6.科学と感性
以下の売り場のある部分をとらえて、科学の部分、感性の部分を2点ずつ挙げてください。
科学1:
科学2:
感性1:
感性2:
科学と感性に分ける力を付ける理由はVMDの仮説を立てて新たなノウハウを得るためです。
個人の感性に委ねる部分を減らす、つまり個人の力量に頼る部分を少なくして、お店(会社)としてのリスクを減らすためです。
科学とは誰もが実行すべきことで、基本原則や会社が定めたルール、そして仮説と検証で得たノウハウが該当します。
それ以外は個人の感性に委ねることになりますが、感性の一部を仮説として検証することで、新たなノウハウを得ることができます。
つまり、感性を科学に変えることができるのです。
設問7.仮説の立て方
小売りには誰でも結果を出せる基本原則など科学の部分とやってみなければ分からないことがあります。
後者は仮説を立てて検証することで正解を導き出せます。
正解が分かるまでは個人の感性に委ねることになります。
仮説はMDでもVMDでも接客でも立てられます。
MDやVMDのプランには多くの仮説が盛り込まれますが、VMDの実施の部分での仮説を3つ挙げてください。
VMDの仮説1:
VMDの仮説2:
VMDの仮説3:
設問8.テーマ設定の仕方
テーマ設定の際にまずやることは、伝えたいことの切り口を明確にします。
理由は、優先順位をつけやすくするためです。
テーマを設定する力を付ける理由は売り場の商品をお客様に伝える売り場を作るためです。
お客様が目を向けるのは一瞬です。
それをとらえて伝えたい情報を伝えるには、発信する情報を欲張らずに絞ります。
伝えたいことをいくつかに絞り、それに優先順位を付けます。
売りたい商品とお客様に伝えたいことを次のように考えました。
アピールしたいこととテーマの切り口を明確にして整理してください。
売りたい商品:Aライントレンチコート(税込39,000円)
【商品の特徴】
働く女性のためのブランド、「エルミナ」の秋の新作トレンチコート。
定番のトレンチコートで毎年人気があり、大きくデザインは変わらないが、今年は新たな機能が加わった。
長年のコート作りで得たノウハウから、表地にはテフロン加工を施し、撥水性と防汚性を強化。汚れが目立たないので安心して着ていただける。
表地は綿100%の2本の糸をより合わせた糸で、太さを均一にした双糸使いにこだわっている。高密度な織物のためやや重い。しかし、雨や風を通しにくく、着くずれもしにくい。
裏にはタータンチェックのライナーが付いており、取り外しが可能。ライナーはポリエステル素材で暖かい。寒い秋口からライナーを外せばスプリングコートとして春にも使える。
サイドポケットが上めについている。ウエストベルトもハイウエストの位置なので、脚長効果が期待できる。
パンツスタイルにジョッキーブーツと合わせて、かっこよく着こなすのがおすすめ。
伝えたいことの切り口を明確にして整理します。
表5
伝えたいことの切り口を明確にして整理できたら、次にテーマの優先順位を決めます。
表6
ここまで明確にできたら、次はいよいよお客様にテーマが伝わるような売り場を作ります。
テーマを伝えるには、商品を使って伝える方法とPOPで伝える方法があります。
設問1、2に答えることができた人は商品を使って伝える力があります。
次の設問では、POPで伝える力を試されます。
設問9.売り上げに結びつくPOPの作り方1
売りたい商品とお客様に伝えたいことを次のように考えました。
アピールしたいこととテーマの切り口を明確にして整理してください。
売りたい商品::チーズ詰め合わせ(税込3,500円)
製造者のプロフィール
酪農王国北海道の中でも古くから酪農が盛んな大樹町で昭和5年に開場。
十勝の牧場が、牧草を育て、牛を育て、乳搾りまで一貫製造、丹精込めて作っている。
イタリアへ足を運び修業したオーナーが作るチーズはナチュラルチーズコンテスト優秀賞受賞歴がある。
健康な牛作りのため広大な草原に放牧酪農。
そして牛を放牧する草地の土壌作りからこだわって、放牧地には化学肥料は一切与えず有機農法で肥料を作っている。
おいしい牧草をいっぱい食べた牛達の新鮮な搾りたての生乳を元に造る極上のチーズ。
北海道は年間を通して湿度が低く昼夜の寒暖差が激しいのが特徴。
チーズ造りが盛んなヨーロッパの 気候、環境に非常に似ている。
このチーズ造りに適した気候が北海道のチーズが美味しい理由の一つ。
商品の特徴
豊かな香りとコクが魅力のセミハードタイプのチーズとフレッシュチーズの3種詰め合わせ。
おいしい調理例を紹介したレシピ付き。
「スカモルツァ」はさらりとした味わいで、塩分はほとんど感じられない。
モッツァレラに似た、内部のもちもちした食感が魅力。
モッツァレラを塩水につけ、乾燥、熟成させたもので、ひもで結んで吊るして乾燥させるため、ヒョウタンの形をしている。
固くなったものはおろして粉チーズとされることもある。
そのままでも食べられるが、スライスして軽く焼くと美味。もちもちっとした食感とコクが楽しめる。
「オーチャード」は表面は固く独特の香りと食感を楽しめる。
中はねっとり柔らかで、2つの食感の ギャップも魅力。
チーズの表面をからぶきすることにより外皮ができる。約3か月間からぶきを続けると硬い皮が形成される。
そのままでもおいしいが、グラタンやピザなどの加熱する料理に加えても美味。
「クリームチーズ」は本工房の原点ともいえる自慢の一品。
熟成させないフレッシュなチーズ。
乳酸発酵の後に凝固酵素で固め、ホエー(乳清)を抜いて作る。
みずみずしい中に牛乳のコクとさわやかな酸味が楽しめる。
豊かな風味とコクのある味わいで、そのままデザートとしてもおすすめ。
ジャムと合わせてフランスパンにつけたり、塩コショウとマヨネーズでディップにしてもよい。
表7
設問10.売り上げに結びつくPOPの作り方2
次は距離に応じた2つのPOPの作成です。
以下は設問9で整理したチーズ詰め合わせ(税込3,500円)の情報です。
この情報を下に、距離に応じた2つのPOPを作成します。
主通路を歩く3m先の人、商品の前に立ち止まった30cm先の人に伝えたいことを決めて、入店客と売り上げのアップを図ります。
表の中身は既に完成しています。
表8
歩きながら目を一瞬向けた人に一番伝えたいことは何か、それに魅力を感じて近づき、立ち止まった人に伝えたいことは何かという発想で、距離に応じて伝えたいことを決めていきます。
メイン通路を歩いている人(3mほど離れた人)に伝えたいことを決めてください。
[3m離れた人に]
表9
立ち止まった人(30cmほど前の人)に伝えたいことを決めます。
[30cm離れた人に]
表10
まずPOPを見てもらうためには、体裁を整えます。それはルール化で解決できます。
次に、見てもらったPOPで売り上げに結びつけるためには、読んでいただく内容が重要です。
読む人の距離に応じた内容にすることで、売り上げに貢献できるPOPが出来上がります。
解答が載った電子書籍『売り上げが伸びるお店の作り方』
いかがでしたでしょうか。
全てに解答できた方、あまりよく分からなかった方など様々と思います。
感性的に優れたディスプレーのテクニックを身につけることがVMDの王道と考えている方は戸惑われ、難しく感じたかも知れません。
ディスプレーも入店客数を増やすためにはとても重要ですが、VMDには他にも様々な役割があります。
VMD上重要なことは売り場の商品をできるだけ多くお客様に伝えることです。
専門用語を知っているか否かではなく、品揃えをお客様に伝えるノウハウ、売り場を改善するノウハウを身につけることこそが重要です。
これらのノウハウを電子書籍にて500円(税込)で学べます。
売り上げアップに役立つノウハウを身につけられる、ショーアンドテルの電子書籍を是非ご覧ください。
ちなみに、この設問の解答は松井柚子(まついゆうこ)著、『売り上げが伸びるお店の作り方:「伝える」ことが繁盛店を作る』に載っています。
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その他のテスト
その他の実力テストです。こちらも是非お試しください。